福本 幸男(経済学部教授)

福本幸男所員

〔専門分野〕 国際金融論

〔最終学歴〕 神戸大学大学院経済学研究科

〔取得学位〕 神戸大学博士(経済学) 

〔研究課題〕 人口動態と国際貿易に関する実証研究

〔主要な研究業績〕
Fukumoto and Kinugasa (2021) Impact of Demographic Indicators on Trade Openness: Evidence from Different Geographic Regions. Applied Economics Letters. (査読あり)

Fukumoto and Kinugasa (2018) Does Demographic Change Influence International Trade? An Empirical Study on APEC Economies. Economic Growth and Transition of Industrial Structure in East Asia.

Fukumoto and Kinugasa (2017) Age Structure and Trade Openness: An Empirical Investigation. The World Economy. (査読あり)

“Age structure and trade openness: an empirical investigation,”
 The World Economy, vol. 40, pp. 1247-1263, 2017 (with T. Kinugasa)

「ユーロ圏の域内不均衡と最適通貨圏の基準の内生性:産業構造・産業内貿易データによる検証」『グローバル・マネーフローの実証分析』ミネルヴァ書房、59-90頁、2014年

“A New Finding for Corporate Board Size Effects: Evidence from Japan,” The Singapore Economic Review, vol. 58, pp. 1-12, 2013 (with J. Xie)

“Another Look at the Underlying Cause of the End of the Bretton Woods System: International Price Differences Perspective,” Review of International Economics, vol. 19, pp.852-864, 2011

“International Price Dispersions of the Big Mac and Economic Integration,” Applied Economics Letters, vol. 18, pp.1633-1638, 2011

「マネタリ-モデルの共和分分析―モデルの識別と ECUレートへの応用―」『金融経済研究』22号、59-76頁、2005年

「為替レート動学に関する実証研究」博士論文(神戸大学経済学研究科)、2005年

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〔動向〕 
人口構成と国際貿易に関する実証研究
 人口構成とは、ある国や地域の人口の、性別・年齢別・職業別といった構成状況を指す。人口構成の中でも、最も経済的側面から注目されているのは年齢構成であり、従属人口とされる15歳未満の年少人口と65歳以上の老年人口、生産年齢人口とされる15歳から64歳に分けられる。典型的な個人の一生涯における各段階の経済行動の背景には共通のパターンがあり、マクロ経済学における有力な理論の一つであるライフサイクル仮説は代表的な国内のマクロ経済変数である集計された一国全体の所得、消費、貯蓄が年齢構成に左右されるとしている。
 現在、私自身は、年齢構成に加えて、人口構成における国際移民の影響に関心を持って研究を進めている。厳密な国際移民の定義ではないが、外国生まれの人とその国で生まれ育った人では生活習慣が異なることは明らかであり、上記のマクロ経済変数は人口に占める国際移民の割合にも左右されるであろう。国連経済社会局(UNDESA)が公表したデータ『国際移民ストック2020:目的地』の表3 によると、1990年から2020年にかけて、国際移民が世界人口に占める割合は2.87%から3.60% 、アメリカでは9.22% から15.30%、日本でも0.83% から2.19%に上昇しており、国際移民が人口構成に及ぼす影響はますます高まっていくことが予想される。
 年齢構成同様、人口に占める国際移民の割合が、一国全体の所得、消費、貯蓄の決定に影響を及ぼすことは、既に膨大な実証研究から明らかにされているものの、国際貿易の決定に重要な役割を果たすかについての研究蓄積は十分ではなく、これに関する実証研究に取り組んでいる。
 実のところ、私の専門分野は国際金融(国際マクロ経済学)の実証分析であり、日本経済史研究所所員ではあるものの、日本経済の歴史を扱った研究をしてこなかったが、具体的には、古墳時代等の渡来人が日本経済や国際貿易に及ぼした影響を計量的に実証分析できたらと考えている。国際移民の側面から、他の所員の先生方との共同研究が進められたら幸いである。
 現時点での関連する私自身の研究成果(研究報告は省略)は以下の通りである。
 
Fukumoto, Y. (2024) An Empirical Analysis on Immigrants and Price Elasticity in the Import Demand Function, Journal of Economic Studies, forthcoming. (査読あり)
Fukumoto, Y. and T. Kinugasa (2021) Impact of Demographic Indicators on Trade Openness: Evidence from Different Geographic Regions, Applied Economics Letters, 28, pp. 1772-1776. (査読あり)
Fukumoto, Y. and T. Kinugasa (2018) Does Demographic Change Influence International Trade? An Empirical Study on APEC Economies, in T. Kinugasa, L. Yu, Q. Chen, and Z. Feng (eds.), Economic Growth and Transition of Industrial Structure in East Asia, Springer, Singapore, pp. 1-21. (査読あり)
Fukumoto, Y. and T. Kinugasa (2017) Age Structure and Trade Openness: An Empirical Investigation. The World Economy, 40, pp. 1247-1263. (査読あり)
 
(2024年5月)